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「料理をするには、爪も短くされないといけませんよ」
村崎に指摘され、自分の爪を見る。
淡いピンクとホワイトの清楚なフレンチネイル。色の境目にはシャンパンゴールドのラメと透明のストーンが乗せられている。
サロンのお姉さんに「女の子ウケしそうな可愛いネイル」とお願いしてやってもらったものだ。
確かに、料理をするには少し長すぎるかもしれない。
「それに、以前遼雅さまに手作りお菓子をせがまれた際も、スマホ片手に調べながらあれこれやった結果、外は黒焦げ、中は生焼けのケーキを作られていたではありませんか」
「ちょっと待ってそれ家でやったやつなのになんで村崎が知ってるの!?」
知られてないはずの失態をどうして知っているのか問い詰めたかったのだけれど、完璧な執事の笑顔でかわされてしまう。
もやもやしながらドアを開けると、隣の部屋の前に女の子が立っているのが見えた。
バッグの中からカードキーらしきものを取り出していた彼女は、よく見たらさっきエントランスで見かけた女の子だった。
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