24人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「あ、こ、こんにちは」
下手くそな挨拶をしてしまってから、もう夕方だから“こんばんは“じゃないかとか、話しかけられるのが嫌な子だったらどうしようとか、もしかしてあたし達うるさかったかなとか心配になった。
そんなあたしの不安をよそ目に、彼女は笑顔で話しかけてきた。
「こんばんは。さっきエントランスであった子だよね。もしかして清大の1年生?」
「あ、はい!」と自分でも思った以上に大きな声を出してしまったあたしを見て、ふわふわのパーマが可愛い女の子は笑う。
「敬語じゃなくていいよ。わたしも清大の1年だから」
彼女は取り出していたカードキーをしまいながら、「同じ高校で清大に進んだ子がいなくて、知り合いが一人もいないんだ」と言う。
「あたしも!」と思わず答えると、女の子はスマホを取り出しながら「ID交換しない?」と言った。
ID交換!本当にあるんだ…!
憧れだったID交換をあっさり申し出られて、嬉しくなったあたしは慌ててスマホを取り出した。慣れない操作に戸惑いつつも、なんとか交換する。
最初のコメントを投稿しよう!