夢探しとホイッスル

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『ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんがはつめいかでよかった』 「……お礼を言うのは僕の方だよ」 『そうなの?』 「うん。……花火、見に行こうか」  今度はしっかり手を繋いでいこう。頷いた弟と共に歩き出す。 『お兄ちゃん』  花火が見えるあの場所へ辿り着く少し前、弟が手を引っ張ってメモ帳を差し出してくる。首を傾げれば、弟の小さな口が『めくって』と言った気がした。  花火の眩い明かりが点滅する夜の中で、僕はそっと手を伸ばす。どこか期待するような顔でこちらを見つめる弟と、溢れる夏の幸せ。  そこにはただ、こう書かれていた。 『お兄ちゃんみたいな発明家になりたい』  煌びやかな鈴の音が、すぐ傍で小さく鳴り響いた。
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