夢探しとホイッスル

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*  おまつりの格好をするなんて、もしかすると初めてかもしれない。  すれ違う人たちと同じような服装をした僕とヒロトを見て、もうそれだけでワクワクしてきてしまった。 『お兄ちゃん、あそこ行きたい!』  ヒロトが僕の手を引いてメモ帳を見せてきた。 「りんご飴? いいよ、行こうか」 『ありがとう!』  弟はあらかじめ用意してあった文字を見せて笑った。  弟が歩く度にシャラシャラと鈴の音が鳴る。僕が作った笛をちゃんと持ってきてくれたようで、たまらなく嬉しくなってニヤニヤとしてしまう。たまに笛の方を見ては少し嬉しそうに顔が明るくなるので、それも愛おしくて仕方がなかった。 「おじさん、りんご飴ください!」 「あいよ! そっちの僕はいくつ欲しい?」  ハチマキを頭に巻いたおじさんが屈んでヒロトに問う。ヒロトは元気よく人差し指を立てて数を示した。 「ひとつな! ちょっと待っててな」  僕がお金を渡すと、おじさんはりんご飴を僕たちに渡してくれる。自分の言いたいことが伝わって嬉しかったのか、ヒロトはこちらを見上げてふふんと誇らしげにしたり顔をした。  お祭りの時は、賑やかな人達ばかりで町は溢れている。だから、ヒロトが口を開かなくても変に探りを入れてくる人もいない。  おかげでヒロトも楽しめているし、僕としても幸せなことだった。
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