熱帯夜にエアコンの乾電池を買いに出る

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ササッと軽く着替える。深夜なのでこれで良いだろう。 一番近いコンビニまではざっと2キロくらい。途中、長い下り坂がある。ということは、帰りは長い上り坂という訳だ。風は全く感じない。帰途を考えると憂鬱になる。だけど、こうなったらもうヤケクソだ。僕は勢いよくペダルを漕ぎ出した。 すぐに大粒の汗が髪の毛の中から溢れ出して額を伝って目に入る。微かに痺れる。 何度も強く瞬いて汗を追い出す。 あの橋を渡ると下り坂だ。 橋を渡るとペダルを漕ぐのを止めた。自転車はすーっと坂を下り始め、僕は右手の甲で眉や額の汗を拭った。ベッタリだった。 直線に入った時、体がふわりと浮き上がる感覚がした。ん?と思い、地面と前輪を見るが普通に接地しているように見える。体は確実に宙に浮いている気がするのになんか変な気持ちになった。
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