兄がいる

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わたしにはお兄ちゃんがいた。 登校するしたくを終えて、家を出る。 玄関の鍵を閉めると、先に出ていたお兄さんがわたしにむかって手をさしだした。 「では行こうか、そよ」 「手、つながないよ」 「なぜだ?」 「ここでは、大きくなった兄弟が手つないで歩いたりはあんまりしない」 「そうなのか? 難儀だな。妹が迷子になったらどうするんだ」 「心配なのは弟くんでは?」 「弟は心配ない。どこにいてもわかる。おまえの方が心配だよ。僕もこの不自由な身体にいては、近くにいなくては守れない」 わたしたちは話しながら、高校にむかうため歩き出す。 「それに、どちらかというとお兄さんの方が道わからないのでは。来たばっかだし」 「そんなことはない。いちやの記憶にあることはちゃんとわかる」 「そっか」
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