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「きょうも元気だ、おてんとサンサン! ようこそ、燦燦新聞社へ――あ! シュレットガルドさん、ハルキさん! お二人とも、お疲れ様です!」  広いロビーに入って真っ先に目に入るのは、中央にある大きな円形のカウンター。その中から、淡い色のスーツが似合うボブカットの女性が元気に手を振ってくれる。  この名前のないお姉さんはNPCなので、基本的には与えられた仕事とセリフをくり返すだけだ。でも新聞社で請け負った依頼の達成回数に応じて仲良くなれるシステムがあるらしく、僕とメイくんも顔と名前を覚えてもらうことができた。 「わあ、すごい! コンニャク妖怪を退治できちゃったんですか!? これはスクープになっちゃいますよ、おめでとうございます!」  手元のコンソールで僕たちが報告に来た依頼内容を確認したお姉さんは、オーバーすぎる動きでパチパチと拍手した。いつもこんなふうに全開で褒めてくれるので、うれしい反面ちょっと照れくさい。  ヒノモトの新聞社は、現実世界のように新聞を作って届けたりはしない代わりに、訪れたプレイヤーにさまざまな依頼を提供してくれる。依頼というのは、いわゆるクエストのようなもので、もっとわかりやすく言えば――ズバリ、おつかいだ。レベルや職業などで細かく難易度分けされていて、その人に合った依頼を受けることができる。  やっぱり圧倒的に多いのは物怪退治の依頼だけど、中には街の中だけで完結する簡単な買い物や、ちょっとした推理ゲームなんかもあるから、戦闘が苦手な僕みたいなタイプでも幅広く楽しむことができる。まあ、戦闘が大好きなメイくんと一緒に行動しているので、物怪退治の依頼を受けることがほとんどなんだけど。 「それでは、おまちかねの報酬ターイム! コンニャク妖怪の場合はですね――」  パーティ代表のメイくんが、僕の分もまとめて手続きをしてくれる。その間、手持ち無沙汰(ぶさた)になる僕は、いつものようにカウンターから少し離れて新聞社の中をぐるりと見回すことにした。
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