タクムくんの、仕事

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タクムくんの、仕事

「……それじゃ、オレの仕事を手伝え」 「タクムくんの、お仕事?」  タクムくんって中学生だよね? なのにもう、お仕事してるってこと?  あたしが首をかしげているのを見て、タクムくんはうなずく。 「ふつうの仕事じゃない」 「おやおやぁ、少年オオカミくん、かわいいかわいい小ギツネちゃんを巻き込むつもりかい? いけないなぁ」  ふと後ろから声がして振り向くと、そこには狸山先生が立っていた。  にやぁと笑う表情は、とても楽しそう。 「……そんなこと言って、先祖返りが増えて喜んでるんだろ」 「ま、それもあるけどねぇ」  狸山先生は、あたしに目線を合わせて言う。 「小ギツネちゃん、本当に彼のために『恩返し』するのぉ?」 「もちろんですっ」  先生の言葉に即答する。すると、先生はにっこり笑った。 「……よし、それじゃ、先生も手伝っちゃおっかなぁ」 「へ?」 「それじゃ、部室にレッツゴー」  そう言って、先に立ってどこかへ歩き出す先生。  どうしたらいいか分からないあたしに、タクムくんは言う。 「本当にオレに恩返ししたいんだったら、ついて来いよ」  そう言って、すたすたと歩きだしてしまう。 「あ、ちょっ、ちょっと待ってよおおおぉぉぉっ」  なんだか、よく分からないけど、何かが動き始めたみたい。  
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