3人が本棚に入れています
本棚に追加
タクムくんの、仕事
「……それじゃ、オレの仕事を手伝え」
「タクムくんの、お仕事?」
タクムくんって中学生だよね? なのにもう、お仕事してるってこと?
あたしが首をかしげているのを見て、タクムくんはうなずく。
「ふつうの仕事じゃない」
「おやおやぁ、少年オオカミくん、かわいいかわいい小ギツネちゃんを巻き込むつもりかい? いけないなぁ」
ふと後ろから声がして振り向くと、そこには狸山先生が立っていた。
にやぁと笑う表情は、とても楽しそう。
「……そんなこと言って、先祖返りが増えて喜んでるんだろ」
「ま、それもあるけどねぇ」
狸山先生は、あたしに目線を合わせて言う。
「小ギツネちゃん、本当に彼のために『恩返し』するのぉ?」
「もちろんですっ」
先生の言葉に即答する。すると、先生はにっこり笑った。
「……よし、それじゃ、先生も手伝っちゃおっかなぁ」
「へ?」
「それじゃ、部室にレッツゴー」
そう言って、先に立ってどこかへ歩き出す先生。
どうしたらいいか分からないあたしに、タクムくんは言う。
「本当にオレに恩返ししたいんだったら、ついて来いよ」
そう言って、すたすたと歩きだしてしまう。
「あ、ちょっ、ちょっと待ってよおおおぉぉぉっ」
なんだか、よく分からないけど、何かが動き始めたみたい。
最初のコメントを投稿しよう!