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出会い
「なぁ、アンタ見ない顔だな」
『そう?俺もアンタ知らないけど?』
「ふ…言ってくれるね。隣いい?」
『いやだ』
「は…つまんねー奴だな」
『つまんなくて結構』
俺に話しかけてきたクソ野郎は黙って自分の席に戻った…と思いきや…自分のグラスを持って戻って来た。
俺の隣に…
『チッ、隣来んなって言ったろ?』
「どこに座ろうと俺の勝手だ」
『話しかけんなよ』
【あー、トーヤだ。ねぇ、一緒に出ようよ?】
「あ?お前誰だ?っつーか、今入って来ただろ」
【ふぅん…あんなに熱い夜を過ごした僕の事忘れたの?】
口元に手を当て可愛いだろ?のポーズを取る男。
『夏だからな、誰とでも暑いだろ。お前暑苦しい』
【っ…マジムカつく、あぁ、この人…口説いても無駄だよ?百戦錬磨のトーヤでも落とせない、トーヤも振られてみたら?】
「アンタこの子と行けよ、百戦錬磨クン?」
『アンタにはカンケーねぇ』
「はぁ、ねぇ君さ顔だけは可愛いみたいだからトーヤくん連れてって来んない?」
【オニーサン、僕さ顔だけじゃないんだけど?】
「何でもいいから…ふたりともウザい」
【ふたりしてムカつく、シュンヤさんだっけ?アンタ誰にも靡かないって有名だけど、ここに何しに来てんの?】
「酒に決まってんだろ?後は…運命の相手待ってんだよ。文句あるか?」
【はぁ?バッカじゃないの?運命?そんなのあるわけないだろ?トーヤ、残念だったね?シュンヤさんの運命の相手じゃないみたいだよ〜】
『お前マジでどっか行けよ…』
トーヤの鋭い目つきにその場が凍る。
【ふん…振られて泣いても慰めてあげないからね】
自称顔だけじゃないクンは捨て台詞を吐き、奥へ消えてった。
『誰にも靡かないシュンヤさん?』
「何でしょうか、百戦錬磨のトーヤくん?」
『俺をアンタの運命の相手にしてよ?』
「…無理」
『何で?何がダメ?』
「まず…その顔、性格、話し方…後は…抱いた相手も覚えてないようなその下半身」
『ははっ、俺って全部ダメなんだ?』
「ダメだな」
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