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再々会
カランカラン
俺のいつもの席…その隣には冬夜…
ふぅっとため息を落とす。
【春夜さん、いらっしゃい】
冬夜がゆっくりと振り向く。
『よぉ…久しぶり…』
「ああ…そうだな。三か月…ぐらいか?」
『そんなに…じゃあもう…四か月…』
「何が四か月なんだ?」
『誰とも…ヤってない…』
「ふ…はは…そんなの信じられない」
『マジだよ…春夜に初めて会った夜から』
「は?なんで?」
『なんでかな…本当に欲しいモノは手に入らないって思ったら虚しくなった』
「そんなモンだよ、嫌いなのに欲しくて…絶対ダメなのに…でも諦めきれなくて…」
『諦めきれない…か…』
「タバコくれ…」
『持ってんじゃねーか』
「お前のがいい」
冬夜はタバコを咥え火をつけた。そしてそれを春夜に咥えさせる。
そう…初めて会った時のように。
「…っ…」
黙って様子を見ていたマスターが冬夜を見つめる。
【冬夜くん…春夜さんを送ってあげてくれませんか?】
『え…あ…』
【それか…彼だけを愛せる自信がないのなら…出口はあちらです】
冬夜は迷わず、春夜の手を取った。
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