28人が本棚に入れています
本棚に追加
出会い 冬夜side
綺麗な顔で無表情、さっきから何人も声をかけてるのに振り向きもしない。
たまにマスターと注文のやり取りをするだけ。
もう小一時間ほどカウンターの端から眺めてるが、スマホを見ることもない。
待ち合わせでもなさそうだな。
この店は表向きはただのバーだが、知る人ぞ知る隠れゲイバー。
しかも一見さんはお断りだから、常連のはず。
それにしても…なんて美しい男なんだ。
何とも形容し難い…なんつーか、男を誑かして喰う妖怪みたいな…
声をかけたのは、興味本位だった。
俺なら…断らないだろ?そう思った。
この百戦錬磨の俺の誘いさえ、断りやがった。
自慢じゃないが…俺に抱かれたいと言う男はごまんといる。
ちょっと見つめれば簡単に脚を開く。
あんな簡単に、冷たい態度を取られるなんて初めてだ。
それが逆に俺を煽った。
押してもダメなら引いてやる。
名前の漢字を教えてくれたら帰るという約束を守った。
次に会った時は必ず落とす。
抱いて捨ててやるさ、そして忘れてやる。
ー 春夜 ー
みてろよ。
最初のコメントを投稿しよう!