出会い 冬夜side

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出会い 冬夜side

綺麗な顔で無表情、さっきから何人も声をかけてるのに振り向きもしない。 たまにマスターと注文のやり取りをするだけ。 もう小一時間ほどカウンターの端から眺めてるが、スマホを見ることもない。 待ち合わせでもなさそうだな。 この店は表向きはただのバーだが、知る人ぞ知る隠れゲイバー。 しかも一見さんはお断りだから、常連のはず。 それにしても…なんて美しい男なんだ。 何とも形容し難い…なんつーか、男を誑かして喰う妖怪みたいな… 声をかけたのは、興味本位だった。 俺なら…断らないだろ?そう思った。 この百戦錬磨の俺の誘いさえ、断りやがった。 自慢じゃないが…俺に抱かれたいと言う男はごまんといる。 ちょっと見つめれば簡単に脚を開く。 あんな簡単に、冷たい態度を取られるなんて初めてだ。 それが逆に俺を煽った。 押してもダメなら引いてやる。 名前の漢字を教えてくれたら帰るという約束を守った。 次に会った時は必ず落とす。 抱いて捨ててやるさ、そして忘れてやる。 ー 春夜 ー みてろよ。
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