眼底検査

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眼底検査

「眼底検査しましょうね」  瞳孔を開く薬を点眼。しばらくすると周囲の景色がぼんやりとなり、やたらと光が眩しくてたまらない。 「うぉ、まぶし」  むぞうがバタバタと騒がしい。うぞうは事前に調べたことを反芻している。もしこれで指定難病、網膜色素変性症であると確定された場合、私は障碍者になるのだろうかなど。なるのは仕方ないが、将来的に失明するのは困りものだった。    しばらくして瞳孔も開き、目の表面に何か器具を入れられて医師による検査が始まる。実を言うと私、聴力もあまり良い方ではない。担当医の話はぼそぼそとして完全には聞き取れなかったものの、「この影がそう判断されたんだと思いますが、問題ないです」というようなことを言ったような気がする。   「もっと大きな声で話してって言えばいいじゃん」 「羽未は仕方ないね」  まあしかしながら、現時点で「問題ない」と言われているのだから信じる他ない。経過観察で半年後に来るよう言われたものの、はたして。
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