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プロローグ
「シーザー、今度は絶対、部屋連れてってね」
シーザー。
それは俺の源氏名。歌舞伎町のホストNo. 1。無数の女達が、甘い蜜に群がる蝶みたいに俺の周りを飛び回る。
「気が向いたら」
「けちーっ」
苦虫を潰したような顔をして六本木の地下道へ消えた女の後ろ姿も見ずに4000万のポルシェに乗り込むと軽快に流れるロックのサウンド。
重低音を背中にビンビン感じながらシフトレバーを入れアクセルを吹かすと、面白いようにタイヤ音を残して華やかな都会を走り抜ける。
神尾拓司。
27歳。
俺は六本木を中心に5店舗のホストクラブを経営する。
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