マツタケ皮膚炎

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マツタケ皮膚炎

『シイタケ皮膚炎の原因成分が他のキノコにも含有されていたことがWHOから発表された。症状はシイタケ皮膚炎と同じくチクチクした痒みがあり、引っ掻いたような発疹が出来るというもの』 「キノコの栽培を今すぐに中止するべきだ、キノコ皮膚炎の患者が増えて、医療現場がひっ迫している!」 病気を巡り、キノコ栽培の農家と、マツタケ皮膚炎の患者側が裁判所で揉めている。 「マツタケ皮膚炎は、キノコを充分に加熱していないことが原因だとされている。調理法に問題があったのでは?」 「キノコはそもそも、細菌であり、カビの一種だ。菌やカビを食べてるようなものだろ」 「それだったら納豆や味噌なんかの発酵食品も同じだろう」 両者一歩もひかない。 「歴史上、日本人は縄文時代からキノコを食用としてきた遺伝子を引き継いでいる。日本人の遺伝子と文化を否定するような発言は控えて頂きたい!」 「患者の人口増やしてどうするんですか?」 「だったら、菌類を研究して、遺伝子から皮膚炎となる成分を抜きとるしかないですね」 「遺伝子組み換えですか?それが人体にどのような悪影響を与えるかご存知ですよね」 論争は思わぬ方向へ飛躍する。 「日本人は古来から菌と共生してきた人種です、ビフィズス菌、ガセリ菌、乳酸菌、シロタ株など、私たちは菌にいかされているんです」 「知ってます。最近は痩せ菌や、太り菌の発見によりダイエットまで菌に依存していますが、共生とはいえません。そちらは人面疽の治療した医師の論文を否定するんですか?」 「それは違います! 論点がズレていますよ」 裁判は二審に持ち込まれたが、休憩時間となった。 「腹が減った、キノコパスタの旨い店にいくか」 了
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