ネッシー対ネッシー

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ネッシー対ネッシー

ネッシーが水族館の巨大水槽で展示されるとあり、見学に来た。昭和から存在の可否を巡り、議論されてきた生き物故、駐車場は長蛇の列だ。 「こちらがネッシーのオス、ネスザウルス科ネスザウルス目、ニューネッシー網に属する魚竜で、体長は十二メートル、体重は三十トン、四つのヒレは脚だったものが水中での生活に適応するため進化したもの、横隔膜がないので長い首を持つことで、水中でも死なないように進化しています。主に魚や貝を主食にしていますが、丸のみにするので歯がないんです」 ネッシーは飼育員が投げた鮫を、水中から顔を出し、でかい水飛沫をあげながらぱくりと平らげた。 「最近は人面犬の多頭飼育放棄や、人面魚を池に投棄するなど、野生動物に対する環境は悪化していますが、私たちの手で守っていかなければなりません。ではここで芸をさせてみましょう」 飼育員の指示で、ネッシーはジャンプしたり空中で回転したり芸を見せてくれたが、もう一頭が水槽に入って来た。 「おやおや?ライバルの登場ですね」 ネッシー2頭の曲芸対戦が始まったが、かなり激しい! 水中でぶつかったり、尻尾を引っ張ったり、水槽に皹が入り、客席に大量の水が浸水してくる。観客たちは飼育員の指示も待たずバタバタと逃げ出した。俺も、客席から離れなければネッシーニ頭のバトルに巻き込まれてしまう。 後日、ネッシー2頭のバトルにより水族館は閉鎖されたが、戦ったネッシーたちは水族館から姿を消していた。 了
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