キノコ著作権

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キノコ著作権

都内で「マツタケ皮膚炎になりにくいマツタケ」が販売された。皮膚炎の原因となるハラタケ科のキノコにあるアガリスク、これがステイニルシーバを上昇させるため、アガリスクをキノコから除去したものを開発したらしい。 これまで犬が死んでも死なない玉ねぎなどを開発してきたホンノ食品が、その特許を申請した。 「鑑賞用に作られた金魚やコイにも、製造者に著作権があるように、このキノコにも著作権はあると思います」 金魚や鯉は遺伝子組み換えされた魚類である以上「著作物」であるため「著作権」があって然るべきだという。 「それでは同じように遺伝子組み換えのエノキダケやマイタケにも著作権があると仰るんですか?」 「勿論!」 「しかし夕張メロンやぽん柑の著作権は農家さんにはありません。それだとパピーミルの仔犬や養子縁組のために作られた赤ちゃんも著作権があると?」 「食品はともかく、仔犬や赤ちゃんを著作物とするのはどうかな。お金儲けのためにそういうことをする事業もどうかと思うが」 「では人面犬や人面魚なども著作物であれば著作権があると?」 「著作物であれば、ね。投稿小説も著作権は法的に与えられていないから無断転載が横行するんだ! 兎も角、今はキノコに限った話がしたい」 「ではホンノさんがキノコに拘る理由はなんですか?」 特許庁の職員がホンノに訊ねた。 「マツタケもシイタケも好きなんだ、けれどこの病気のせいで食べられなくなったんだ。好きなのに食べられないのが悔しくて」 「わかりました、採用しましょう」 了
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