第一話 ようこそ

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第一話 ようこそ

「もういいか~い」 呑気な声でそう言うと、僕は近くに隠れているであろう友人たちを適当に探した。 中学のクラスメイト数人で集りその中の誰かが神社でかくれんぼをしようと言いだしたとき、恐れることは何もないと思った。 鬼の役を喜んで引き受けたわけではないけれど、草むらに隠れるのも虫がたくさんいそうだし、別にいいかと思っていた。 「・・・?」 しばらく探せば誰かしら見つかるだろうと考えていたのに、誰一人姿を見せない。 それどころか話し声すら聞こえてこないことに気付いた。 思いの外長い時間一人ぼっちになり、呼びかけることも探すことも面倒になってきた僕は、なんだか腹が立ってきて大きな岩に腰を下ろした。 「大体男だけってなんだよ・・」 内心お目当ての女子も来るかもなどと思っていた自分がバカらしく思えてきた。 無限にも感じられる時間が過ぎ、僕は決心した。 「帰ろ」 自分は特にいじめられているわけではないけれど、せっかく鬼の役を買って出てやったというのに、惨めな気分を味わってしまった。 「みんなで僕を怖がらせるために先に帰ったのかな・・」 自分のことはさておき、中学生男子は考えることがくだらないなと思いながら、蒸し暑い夜道をとぼとぼと歩いた。 やるせいない気持ちで眠りについた僕は次の日驚くことになる。 自分以外の友達はその後一人も帰ってくることはなかった。
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