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オンナを抱くのは、空腹を満たすために食事をするのと同じ。自然な生理的欲求を処理するだけだと、本気で思っていた。
美食家の彼の事だから、オンナにも厳しい基準を要求したが。近寄ってくるオンナの数がハンパじゃないから、好みのオンナを見繕うのに苦労はしない。
我慢などした事がなかった。
だが、ユキは違う。
彼が今日の日を迎えるまでに払った犠牲の大きい事と言ったら。ユキが欲しいと言う渇望にも、我慢に我慢を重ね。そんな気配をユキに気取られて嫌われるのが怖いばかりに、狼の本性を必死で可愛いスヌーピーの着ぐるみの中に押し込んだ。
「やっと狼になれる」、もう欲望を我慢しなくてもいい日が、ついに来た。
披露宴を兼ねて、庭園の中で開かれたガーデンパーティーが終わるのを、ジリジリしながら待った。
終わるなり、後の事は両親に任せると。強引にユキをドン・フィエコ家が所有する専用ジェット機に押し込んで、そのままオアフ島まで飛んできたのだ。
その道中も、腰に手を回した翔之介はユキを片時も側から放さなかった。別荘に着くなり、新婚夫婦のために用意されていた宴もそこそこに、主寝室にユキを運び込むと。
三日間、寝室から一歩も出さなかったのである。ユキを閉じ込めると、思う存分にユキの心も身体もむさぼった。
だが、ユキは拒まなかった。
「許さないよ」、ユキの身体を抱き寄せると、耳元で囁いてやった。
「今までの意地悪の代償を払って貰おうか」、ユキを覗き込んで意地悪を言う翔之介の胸に顔を埋めると、恥ずかしそうに抱き付いた。
「やっと、翔之介さんに抱いて貰えた」、嬉しいと言って涙を流したのだ。
翔之介は余りの喜びに、もう少しで昇天するところだった。
だがユキのしなやかな身体は十八歳の少女のもので、五十一歳になった翔之介には歳の差がヒシヒシと胸に迫る。
男盛りとはいっても、ユキにはオジサンの身体に見えるかもしれないと心がヒリつくのだ。若者の艶の良い肌とは、やはり違っていると思うと、心が苦いもので一杯になる。
そんな翔之介の心臓の上を指でなぞると。
「ユキには翔之介さんだけ。ずっと離さないでね」、美貌の少女が必死で翔之介の愛を強請ってくる。
「ユキ・・」、身体は正直だ。
そんな言葉を聞いた瞬間に、オオカミ男が全開。ベッドの上にユキを押し倒すと、ユキが気を失うまでむさぼった。つまり新婚の最初の三日間、野獣と化した翔之介の生け贄となったユキは、骨の髄まで貪り食われて過ごした訳だ。
しかしそれで満足したかというと、そうはいかなかった。三週間が過ぎても、別荘とプライベートビーチ以外は何処も見ていない。
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