第一章  翔之介・IN・ハワイ

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 ユキは彼に全てを捧げ、彼を愛し抜くと誓った。彼はユキを生涯でだた一人のオンナと見極め、護り愛し抜くと。神の前に(こうべ)を深く垂れて真摯に誓ったのだ。  死が二人を分かつまで、互いの愛を信じて生きていく。  「ユキ・・」、そっとユキに目覚めを促す口づけをする。  ユキが彼の首に腕を巻きつけると、眠たそうな顔で口づけを返してきた。  「今日は何をしようか?」、そっとユキの身体を抱き寄せると、甘い囁きをユキの耳に流し込む。  ユキが伸びをしながら、お願いを口にするから。思わず熱い喜びが彼を満たした。  ユキが言うには。  「翔之介さんに抱いて貰えた喜びを、新しい作品に残したいの」、だから本物のフラが見たいと、ユキが可愛くお願いのポーズをとったのだ。  「叶えてあげたら、どんなお礼をくれるのかな?」、チョットだけ翔之介が意地悪を言う。  ユキが恥ずかしそうに、お礼の前払いをするから・・二人がベッドから出たのは、昼をとうに過ぎたティータイムだった。  つまり、そう言う事だ。  翔之介はユキの愛に、もう疑念など欠片も持っていない。ベルトランは翔之介で、やっとユキに生まれ変わった姫を心ゆくまで抱くことができたのだ。  「二人の恋は、長い時を駆け抜けてやっといま成就した」、それなら全てを受け入れて、神が与えたもうた喜びを余すところなく享受しようではないか。  翔之介は喜びに満たされ、母から届いたメッセージにクスッと笑う。ユキを膝の上に抱きあげると、甘いキスを楽しんだ。  執事がフレデリック・ザボンの手紙への返事を急かすから、仕方なく口述筆記で書きとらせた。  【君は三回も、いや四回だったかな。ハネムーンの経験があるはずだ。無粋な真似はよしてくれ】、ハッキリと撃退。  執事は翔之介のサインをもらうと、フレデリック・ザボンとジョジョが泊っているホテルにサッサと持っていくようにと、いそいそとメイドに言い付けている。  一仕事終えた翔之介はユキを膝に乗せたまま。「神にささげる本物のフラを、二人だけで見に行こう」と、ユキの耳元で甘い誘惑を囁いた。  嬉しそうにユキが頬を染めて抱きつくから、翔之介はまた身体が熱くなる。ユキの手を取ると、また寝室に逆戻りだ。  二人だけの甘い時間は、まだ一週間も残っている!邪魔者は許さない。
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