公子と王子と眠る姫

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 ヨー公子は案内の者に従って、城というには小さい建物を進んだ。  この城を訪れるのは2回目だ。前に来た時、城の周りには薄紫色のライラックの花が咲き誇っていて、ヨー公子とその一家は城の主から歓迎の挨拶を受けたのだった。  今日は家族は来ていない。 「客人をお連れしました」  あるドアの前で案内の者が呼びかけると、「お通ししろ」と、思っていたのとは違う声がした。中にいたのは姫ではなく、その弟の王子だった。  光沢のあるイスに腰かけていた王子が、立ち上がってこちらを振り返る。銀髪のカツラが白い肌に似合っていた。青い目は丸く、口は紅をつけたように色づいていた。  公子は歩み寄って年下の王子にお辞儀をしようとした――が、直前でギョッとした。王子の後ろ側にあるベッドに眠っている女性がいたのだ。 「ああ、気になさらないで。姫はこの通り眠っております」  もちろん気にする。人形のように安らかな寝姿にドキドキしつつ、公子は言った。 「狩りで近くに来たついでにと思ったのですが、タイミングが悪かったようですね。また日を改めます」 「確かに理想的なタイミングではありませんが、歓迎しますよ、公子。姫の代わりに私とお茶でもいかがですか?」  
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