2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
いくつか候補があった中で最終的に瑞希ちゃんが選んだのは、青いギンガムチェック模様の大きなリボンだった。
「わたし、コレがいい」
「瑞希ちゃん、他にも青いギンガムチェックのグッズ持ってるけど、青いチェック柄が好きなの?」
「うん、好きー。わたしの死んだお父さんが、“みずきは青が似合う”って言っててね。
あ、あとこの四角がたくさん並んでるのも好きー」
そう言って、私から受け取った青いギンガムチェックのリボンを、嬉しそうに頭に当てがった。
------------
その年の夏の終わり。
私が、もうすぐ始まる二学期に備え、父の待つ自宅に帰ることになった。
「お姉ちゃん、また来年ね」
「うん。分かった。また来年の夏、瑞希ちゃんに会いに来るね。待っててね」
そう言って、小学校最後の夏休み、海沿いの町を後にした私。
“また来年”と瑞希ちゃんと約束をしていながら、結果的に瑞希ちゃんに会ったのはそれが最後。
その六年生の夏が、私が夏休みに海沿いのお婆ちゃんちへの最後の帰省になり、瑞希ちゃんとの再会の約束が果たされることはなかった。
それは何故か。
私が中学生になった年の春。
お祝いをしてくれるというお婆ちゃんに会いに、電車を乗り継いで一人でお婆ちゃんの家に行った時のこと。
サプライズで瑞希ちゃんに会えるかもと思ったものの、お母さんとお出かけしてるのか、運悪く瑞希ちゃんのお家は留守。
少しがっかりしながらお婆ちゃんの家に戻ると、お祝いの料理の食材を仕入れるため、お叔父さん叔母さんとお婆ちゃんが出かけるところだった。
「お兄ちゃんと留守番してて」
“お兄ちゃん”とは、お婆ちゃんの高校生の孫で、私とっては従兄だ。
最初のコメントを投稿しよう!