少女の告白

65/75
前へ
/192ページ
次へ
 瑞実は恋夏の遺体遺棄、西園への殺人未遂、三浦の性犯罪への共犯等で逮捕された。その瑞実が出所するのを待っているのは司だ。きっとつかず離れずで過ごし、菜子が言ったように司が定年を迎えることにようやく一緒に生活するのだろう。  恋夏の死因は薬物の過剰摂取だった。恋夏は高校在学当時から薬物と援助交際を行っていた。それを知っていた瑞実は恋夏が亡くなった時、薬物でつながっていたノブキを呼び出した。三浦に脅されたノブキは薬物と引き換えに、瑞実の制服を着せた恋夏を空き家の井戸に放置させられた。報酬として薬物を受け取るも、遺体がある地元に帰るのが怖くなり、大学進学で東京に来ていたかつての同級生・袴田を見つけ、彼に保護してもらっていた。  袴田はノブキの尋常じゃない怯え方に薬をやっているのではないかと危惧し、閉鎖されたカラオケボックスにノブキを軟禁して薬を抜いたそうだ。袴田の荒療治で回復したノブキはフードデリバリーのアルバイトに精を出しており、そこらによくいるお兄ちゃんにしか見えなかったと翔子の連絡で駆け付けてくれた神奈川県警の友人は話していた。  ノブキは袴田を「命の恩人」と言っており、袴田が罪に問われないよう泣いて請うたという。 「あのクソ暑い中、耐刃ベスト着こんで行ったかいがあったなあ、おい」  重岡の言葉に、翔子は遠い目をする。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加