少女の告白

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 菜子の祖母・高山は重要参考人として話を聞かれている。だが本人は何も認めていない。それどころか病気を理由に面会すら拒んでいる。  その態度に捜査員たちの間では、高山は最初から瑞実たちを切って捨てるつもりだったのではないかという話がささやかれている。高山は遺産がうまく手に入れればラッキーくらいにしか思っていなかったのではないかと。  神原の遺産は預貯金と保険金の他にタワマンだけだ。そのタワマンの相続税が学生である菜子には到底、払える金額ではない。菜子もそれを知っているから早々に売ることを決断していた。あの日はその片付けのために行っていたにすぎない。  そして瑞実が指摘したように菜子は神原と血のつながりがないが、神原の実子として届けられている。その事情を知っているのが神原の内縁の妻・美明だ。  神原自身、菜子が自分の子ではないと気づきつつも菜子の命を守ることを決断したそうだ。実子じゃないと突っぱねて離婚すれば、菜子は遅かれ早かれ虐待死する。そうでなければ将来、母親の恋人に暴行を受けるかもしれない。  長く風俗業界に身を置いていた神原は様々な女の子を見てきた。その中には親に虐待されたり、男に風俗に売られた女の子もいた。そんな子たちを見てきた神原だから、菜子のことを人一倍案じた。生前の神原は、自分に何かあったらと美明に菜子のことを重々頼んでいたそうだ。
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