少女の告白

68/75

41人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
 それが事務所古参の女優たちに伝わり、「打倒! 三浦」で西園と意気投合し、カレンこと瑞実をおびき出すことに成功した。その時に使用した音声は、古参の女優さんと男優さん協力の元に作り上げたものらしい。 「……って! 彼女って神原さん!?」  驚くのは翔子だけで、他の面々はぽかんと翔子を見ている。 「この話の流れで来たら、ほかにありえないよね」 「東京で第三の女に手ぇ出す暇なかっただろ。酒飲んで寝坊して、新幹線に乗り遅れる先輩とかいてなぁ」 「一昔前の平成メイクより、上品なお嬢さんメイクでしょうよ」  セクハラと抗議する気力も失せ、腰から崩れて机に額をぶつける。痛い。額も痛いが、心も痛い。 「なんとも急展開な終わり方だったけど、拝島のお姉ちゃん情報ではどう? 山内家は落ち着いたって?」 「週刊誌なんかはまだ面白おかしく書き立てていますけど、だいぶ良くなったそうですよ」  身を起こし、額をさすりながら答える。  何らかの事件に巻き込まれて行方不明になったのかと思われた瑞実は、実は事件を起こす側だった。小さな街にマスコミが押しかけ、一時騒然としたものの新たな事件の発生に伴い、事件など最初からなかったかのようにマスコミは消えた。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加