少女の告白

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 恋夏は気づきました。どんなに手をかけても、あの子にはかなわない。お母さんの期待にそってモデルとして活躍することはできないと。恋夏はあの子に一方的に憎悪の感情を抱きました。だから私はあの子に恋夏に近づかないよう忠告し、恋夏にはあなたの名前を出して警告しました。「司くんもお母さんに、あの子と仲良くするように言われている」って。  恋夏は頭がいいあなたが苦手でした。だからあの子は中学を無事に卒業できたといっても過言ではありません。何せ恋夏には自分の指示一つで動いてくれる男の子たちがいたから。  それからの恋夏の人生は転落する一方でした。かわいい子から、手が付けられない不良に変わりました。それもすべてあの子のせい。彼女が私たちの前に現れなかったら、私たちは道を誤ることもなかった。  そんなとき、高山さんもあの子をよく思っていないことを知りました。あの子さえできなければ、娘はきちんとした生活をしていたって。先生たちは私たちに責任転嫁はいけませんって教えるのに、元教師の高山さんが思いっ切り責任転嫁している。笑いたくなるのを押さえるのが大変でした。  だから私たちはあの子に責任転嫁しました。高山さんは娘の生活が荒れたことを、恋夏はモデルになれないことを、私は親にかわいくないと言われることを。あの子がいなければ、自分たちの生活は今より少しでもマシになっていたはずだから。
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