少女の告白

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 高山さんからお父さんが亡くなったことを聞いて、マンションに盗聴器を仕掛けてあの子を仕留める機会をうかがいました。三浦に襲わせるのはもったいない。私が恋夏の敵を討つつもりでした。  男とイチャイチャしてたのはチャンスだと思いました。恋夏を失った私と同じ気分を味わえと、男に包丁を突き刺しました。実際、その場にいたのは警備にあたっているお巡りさんが着ているベストを身に着けた警察官でした。私を誘い出すための音声すら流して、みんなであの子を守っていた。私はあの子に傷を負わせることもできなかった。  結局私は恋夏の顔になっても、助けてくれる人はいなかった。恋夏がろくな大人に助けられないのだから当然ですよね。  それならいっそ、あの子の顔になればよかった。あの子の顔になれば、三浦も満足したかもしれない。誰かまともな人が助けてくれたかもしれない。  でも私はあの子みたいにはなれない。周りが悪いって自分で何かを変えようとしなかった。あの子みたいに母親から逃げて、一人で生きていく術を身に着けようとしなかった。子どもだった。  私は、私みたいに悩む子の力になりたい。一人で生きていく術を身に着けることの大切さを教えてあげたい。  あなたがずっと力になってくれたように、ずっと幼馴染にいてくれるように。  あなたのような強い人になりたい。  そして、いつか…… 山内瑞実』
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