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薄いピンク色をしたウサギは中に入った筆記用具でパンパンになっていて、苦しそうだなぁと思ったのを今でも覚えています。そして、それをなでる彼女が寂しそうな顔をしていたのも。
本を読むのに夢中になって、彼女を放っておいたことに気づいて、何か言わなければと私は話題を探しました。けど、彼女が好きなアイドルやドラマ、おしゃれの話には疎くて、ウサギのペンケースを見て口にしたのが最初の言葉です。
そのペンケースかわいいね、どこで買ったの? そう言うのが一般的な女の子なんだということに気付いたのは、残念ながらつい最近です。突然、寂しいと死んじゃうなんて言われたらひきますよね。
「あたしもウサギと同じ。寂しいと死んじゃうの」
その時の彼女は、連れ合いを亡くしたウサギみたいに小さくて寂しそうで――プライドの高い彼女が聞いたら怒るかもしれませんが――かわいそうでした。ウサギだったら手を伸ばしてなでてあげられるのに、彼女はそうされることを許さないだろうと手を伸ばせませんでした。
「だから、瑞実はずっとあたしと一緒にいてくれる?」
トイプードルのような大きな目とふわふわした髪の毛、赤ちゃんのような肌を持つ彼女。そんな彼女に不安そうに、少しだけうるんだ目で上目遣いに見られて、拒否できる人間がいるでしょうか。
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