私は生きる

10/10
前へ
/10ページ
次へ
高校卒業の日。 私は今日、家を出る。 もう、私は帰らないかもしれない。 だから美穂、私はあなたに会いに来た。 あなたは幸せじゃなかったのかもしれない。 あなたにとって、生きるとは苦しいだけだったのかもしれない。 そして 今も尚、私は良い姉ではなかったかもしれない。 だけどね。 私はあなたには謝らない。 だって、私もあなたも謝るようなことはしてないもの。 私は、あなたに何かを施すための存在ではない。 でも あなたを虐げる存在でもない。 同じ立ち位置、同じ目線で 肩を並べて歩いていく存在なの。 ただ、この間まではお互いにそこに立てていなかっただけ。 でもこれで やっと、私もあなたも前に進むことができる。 自分の足で 自分の意思で 行きたい方に歩いていける。 … はい かすみ草よ。 これをあなたが生きている間に見せられなかったことだけは 出発する前にちゃんと謝りたかった。 本当にごめんなさい。 ……… じゃあ、そろそろ行くわね。 電車の時間なの。 もしまた会う機会があれば… ………やっぱ今のなし。 ガチャ 「…いってきます。」 バタン
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加