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美穂は、先天性ミオパチーという病気だった。
筋力低下により、心臓や呼吸にも症状を患う病気で、治療法は未だに見つかっていないという難病だ。
1歳や2歳の段階で亡くなるケースも多い病気とのことで、両親は美穂が死んでしまう前にと、細心の注意をはらいながら美穂を可愛がった。
おもちゃから何から沢山の物を買い与え、免疫力も弱いためか、病気にならないようにと、食事や環境にもお金を費やした。
そう考えたのは両親だけではなかった。
祖父母や叔父叔母ですら、世界は美穂を中心に回っていた。
美穂 美穂 美ホ みほ み … … …
いつしか、家族との時間は美穂との時間になった。
私は、美穂に近づくことも出来なかった。
怪我をさせたらどうするの。
外で変な菌を拾ってきたりしてない?
具合悪いならあっちいってて。
何かあってからじゃ遅いんだから。
私は我慢した。
私の書いた絵も、私が欲しいぬいぐるみも、私の誕生日だって。
私は私に言い聞かせた。
これは仕方のないことなのだと。
あと1年待てば…
あと半年待てば…
あともう少し待てば…
美穂は…
そしたら
私が…
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