私は生きる

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美穂はその日、息を引き取った。 父も母も狂ったように泣いていた。 まるで、生きてきた意味を見失ったかのように。 2時間目の最中、学校に連絡があり急いで家に戻った。 しかし、私が帰宅した時にはすでに、美穂の脈は止まっていた。 筋力が足りず、うまく呼吸が出来なかったことが原因らしかった。 悲しみに暮れる両親を横目に、どこかホッとしている私がいた。 苦しい中生き続ける妹も 父と母の手の中でしか生きられない妹も そんな妹を疎ましく思う私も その苦しみを解りきれない私も 全て、終わったんだと。 もう後ろ髪を引かれることもない。 私はやっと 私としての人生のスタート地点に 足をつけることが出来たのだと。
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