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最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
「キャサリン、もっと姿勢を良くして。背筋をすっと伸ばして、スープのスプーンはまっすぐにお口に入れるのよ。たらたらとこぼれてしまわないように」
わたしにお小言をくれるくせに、ルイーゼ自身は袖に手が埋まっているし、ウェストを布ベルトで絞めても身頃の部分が余ってとても不格好。
(ご自分の、身の丈に合う服を着たほうが良いのではなくて?)
よほど言ってあげようかと思ったのだけれど、ルイーゼを見るたびにわたしのお母さまが悲しい顔をして首を振る。
「キャサリン、あなたのお友達のルイーゼはきっと、ローズお姉さまのことが忘れられないのよ。とても傷ついているの。優しくしてあげて」
ローズお姉さまには、ここのところずっとお会いしていない。
どこへ行ってしまったのかしら。
* * * * *
ローズお姉さまはお空の上よ。
とても楽しそうに笑っているわ。
だから私たちも泣いてはいけないの。
* * * * *
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