ローズお姉さまのドレス

1/3
前へ
/3ページ
次へ
 最近のルイーゼは少しおかしい。  いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。  話し方もお姉さまそっくり。  わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 「キャサリン、もっと姿勢を良くして。背筋をすっと伸ばして、スープのスプーンはまっすぐにお口に入れるのよ。たらたらとこぼれてしまわないように」  わたしにお小言をくれるくせに、ルイーゼ自身は袖に手が埋まっているし、ウェストを布ベルトで絞めても身頃の部分が余ってとても不格好。 (ご自分の、身の丈に合う服を着たほうが良いのではなくて?)  よほど言ってあげようかと思ったのだけれど、ルイーゼを見るたびにわたしのお母さまが悲しい顔をして首を振る。 「キャサリン、あなたのお友達のルイーゼはきっと、ローズお姉さまのことが忘れられないのよ。とても傷ついているの。優しくしてあげて」  ローズお姉さまには、ここのところずっとお会いしていない。  どこへ行ってしまったのかしら。  * * * * *  ローズお姉さまはお空の上よ。  とても楽しそうに笑っているわ。  だから私たちも泣いてはいけないの。  * * * * *  
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加