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それが、いつからこんなにも口を聞かなくなったのか、なぜそうなってしまったのか。今も全く思い出せないでいる。
詳子は突然私の前までやってきて、無遠慮にこうして私に向かって喋り出した。
「ミキ。こうやって会話するのは久しぶりだね。ミキとこんなふうに触れ合うのも、何年ぶりだろう……小さい頃はずっと一緒にいて、寝る時まで側にいたのに、いつからこういう関係になったんだろうね。少し寂しいけど、これが大人になるっていうことなのかな」
大人になる、そんな言葉に騙されて「はい、そうですね」と受け入れるほど私の器は大きくない。
だが私は何も言わずに、反論もせずに、ただ黙って詳子の話を聞くことに徹した。
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