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「ぷっ──あっはははは! 何それっ、なんですぐに了承しちゃうのお姉ちゃんっ、あはははは!」
「あら、そんなにおかしいかしら。私が可愛い妹からのお誘いを断るワケなんてないのに。それに、私だってもとみと一緒に夏祭り行きたかったしね」
「あはは……いや、ごめんね笑ったりして。でも、お姉ちゃんもそう思ってくれてたんだね。だったら最初からフツーに誘っとけば良かったなぁ……」
「そうよッ!! もとみが最初からあの王子とか言うち●ぽ女に誘惑されていなければ、夏祭りデート出来たって言うのに! いいもとみ!? 今度から夏祭りに行く時は真っ先に私を誘いなさい! その時はしっかりとホテルの予約はとっておくから!!」
「……お姉ちゃんって、ホントにそういうエッチなことばっか考えてんの? 幻滅しちゃった。やっぱり誘うのやめて、チコちゃんと行こうかな〜」
「えっ? やっ、ちょっ、冗談よ冗談まったくやめて頂戴そんなエッチなことばっか考えてるワケないじゃないホントもとみってばいつも私のことを性獣みたいに言うんだから全くこの子ったらどっちがスケベなんだか」
「取り乱し過ぎだよお姉ちゃん……まぁ、お姉ちゃんらしいけどさ」
慌てふためく寧々を尻目に、もとみは再び空を見上げた。
こうして笑い合ったのはいつぶりだろうか。こうして二人きりで夜を過ごしたのは、何日ぶりだろうか。
……またいつものような日常に、戻れるだろうか。
心の中にいるもう一人の自分が、ネガティブな質問を投げかけてくるが、もとみはその質問には答えなかった。
(戻れるかどうかじゃないよ、私。私はやっぱり、お姉ちゃんが好きだよ。──姉として、家族として)
心の中で、そう呟く。すると心の中にいたもう一人の自分は、何も言わずに消えていった。
何か言いたそうにしていた気もするけど、気にし過ぎてまた寧々と仲違いしてしまうのは嫌だったので、深く追求せず放っておく事にした。
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