第二章6「She Mind」(終)

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 けど不思議と、嫌な気分にはならなかった。  むしろ、「いつも通りの日常」が帰ってきた気がして、もとみは自然と笑みを浮かべる。 「そう、それでいいのよもとみは」 「……え?」 「笑いなさい、どんな事が起きても。そして嫌なことがあったら私を頼りなさい。私はあなたの姉で、たった一人の家族なんだから。ケンカくらい何よ、そんなの仲のいい姉妹だったら、して当然でしょう?」 「……そうかな」 「そうよ」 「……、そっか」  寧々はもとみから目を外すと、そのまま上へ──夜空を見上げる。もとみも続いて夜空を見上げ、二人して暫くの間、夏空の星を眺めた。  見上げた先にある二つの星が、まるで寄り添うように光り輝いていた。  その星の輝きを眺めながら、もとみはずっと言えなかった誘いの言葉を告げた。 「……ねぇお姉ちゃん。次の夏祭りは、 一緒に行こ?」 「ええ、もちろんよ」  答えはすぐだった。    驚くほどにあっさりと返事を貰ったもとみは、しばらくの間放心するが、これまでの悩みや自身への怒りがバカらしく思えて、抱えていたものを放り捨てる勢いで笑った。
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