ソーセージエッグブラザーズ

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興奮冷めやらぬ2人をマスターは手招きをしてトレモロの中へ誘った。 2人は、目と目で会話して肩をすくめたものの、おとなしくマスターの後を追った。するとマスターはカウンターの隣の扉の前で足を止めた。 そして、経年変化でニスが黒光りして重厚感を増した引き戸をスラッと横に流した。2人は思わず息を飲んだ。 そこには地下への階段が続いていた。 仄暗いが暖色に滲むライトが大人の空間を強調している。 壁にはポスターやステッカーや写真が思いつくままに貼られていた。 壁を伝って地下に降り立つとそこには、高さ50センチ程度のステージが あり、低くノスタルジックなスポットライトが華を添えている。 ダンスホールのような客席と壁際にはカウンターバーがあり カウンターバーの背面にはランダムに並んだ無数の酒瓶が鍾乳洞のような 透明な光で滑らかにゆらめいている。 ステージの向かいや入り口付近にはところどころに1人掛けの欠けた卵の殻のようなデザインの椅子がくつろぎの場を提供していた。 見るもの全てが大人でお洒落で音楽の匂いがした。 興味津々に辺りを見渡す2人にマスターは声をかけた。 「ここでやらないか?」 2人は、短い沈黙の果てに 「やります」 「やります」 と、ユニゾンで答えた。
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