ソーセージエッグブラザーズ

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2人は上の喫茶でランチを食べながら 夢のような出来事を反芻していた。 「ここに、あんな隠し球があったなんてな」 旺羽がソーセージをフォークで突き刺しながら言った。 「名前、決めないとな・・」 白玖の方はというと地下のステージに思いを馳せていた。 目玉焼きを崩しながら 「オレたちみたいだな・・」 と、ソーセージに崩した黄身を絡めながら旺羽が言った。 「一卵性双生児・・」 白玖が謎解きしたかのようにポツリと言葉を落とした。 当たり〜と旺羽が親指を立てている姿がなんとなく目の端に映った。 「ソーセージエッグ・・は?」 「いや・・もう食えないけど・・」 「違うよ、ソーセージエッグだってば」 「だから・・じゃ・・・コーヒーゼリーなら・・」 イラッと眉間に皺を寄せる白玖に萎縮するように そっとメニューに手を伸ばす旺羽に 「オレたちのコンビ名ぃ!」 真顔で主張する白玖に 「ぶっ!!」 吹き出して、慌てて口を押さえた旺羽に 口をへの字に結ぶ白玖が睨みつけた。 「コンビ名て・・」 同じ見た目でありながら、上品な空気を纏う白玖が口にすると コンビの響きがこんなにも滑稽な言葉に聞こえるものなのか。 静かに睨みつける白玖に 「ごめんごめん」と軽い調子で言いながら満面の笑みで見つめると 白玖の頬が色づいた。紅潮した頬を隠すように横を向いて黙っている白玖に 「いいね!」 と、とってつけたように旺羽は相槌を打ってぐっと言った。 「ソーセージエッグ!」 「・・・」 白玖はまだ拗ねている。 んっと、一泊置いた旺羽が指を鳴らして白玖の気を引くと 「ソーセージエッグブラザーズっ!」 旺羽がキラキラした瞳で白玖の反応を待った。 白玖はフッと顔を綻ばせると 「・・・いいね」と微笑んだ。
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