ソーセージエッグブラザーズ

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2人の演奏とビジュアルは瞬く間に人々の関心を集め 動画も実演も動員数を伸ばしていった。 でも、2人の目的である親の情報とは縁がなかった。 そして夏が駆け抜け、秋の気配に虫の音の変化で気付かされる頃 白玖のリサイタルの準備が佳境になっていた。 しばらく今までのように舞台に立てないお詫びと この夏のお礼を伝えた2人は ステージの掃除をしながら、マスターに自分達の事を話し始めた。 最近出会った事、さらに最近双子だと気づいた事、2人で作る音楽が サイコーだった事。 ひとしきり2人の話に耳を傾けていたマスターがおもむろに 写真立てをひとつ棚の上から持ってきた。 プライベート感のある一枚の写真にはウッドベースを抱えて静かに微笑む 顔立ちが整った綺麗な男性が写っていた。 その写真を見た2人は、強いシンパシーに胸が締め付けられた。 「人気のベーシストでね。甘い優しい風貌とは裏腹の激しく情熱的な音が  たまらなくてね。技術も桁外れで誰も真似ができなかったよ。」 マスターは泣きそうな顔の2人を交互に見ながら頷いた。 「君たちはよく似てるよ」 この写真の男性が父親なのかどうかは誰にもわからなかったが 埋まらなかった最後のピースがぱちっとハマったような心地よさを感じた。
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