『ある姉妹についてのはなし』

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 僕は友人が死んでいだ姿で発見されたと言われる場所に来ていた。そこはある深い山中にある山小屋で、彼は天井の梁にロープを括り付けて首をつっていたそうだった。決してクローゼットの中で死んでいた訳ではなかった。山小屋の中はまるで廃屋のようで、壊れたラジカセには地面から伸びたツタが絡みついていて、穴が開いてソファからは中から茶色に変色した綿が溢れ出ていた。         僕はソファの表面に積もっていた埃を軽く払ってから腰を下すと、穴から綿が勢いよく飛び出してきてひらりと宙を舞い、目の前にある長い間この場所に鎮座していたであろうテーブルの上に落下した。  そこで僕はようやくテーブルの上に廃屋には似合わない綺麗な爪切りと、綺麗に切られた爪がテーブルの端に寄せられたが見つかった。 「で、君の念願の夢は果たせたのかい? 双子の姉妹と寝るってやつは」 「ああ。果たせたさ」と僕の友人は言った。
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