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「私はともかく潔はまだ若いし、社会に出て出会いもある。やっぱり若い子がいいって言うかもって。反対されたら駆け落ちしようって言われてたけど、正直不安だった」
まさか姉が不安に思っていたなんて知らなかった。潔の若さというか、勢いに押されてしまったんだろう。真っ向から反対されて不安や焦りもあったのかもしれない。
バス停へと歩く道すがら、あの赤い鳥居が目に入った。引っ越しの準備が終わって一段落したらお参りしないとなあと考えて再び前を向いた。
○
姉が実家に戻って5年が過ぎ、私は二度目の23歳になっていた。
私は大学に進学後、だいたい同じ人生を繰り返した。違いといえば、あの神社で手伝いをしていることくらいだろう。もう一度会えたらお礼を言いたいと考えているけど、今のところ会えていない。
一方姉は、結婚をした。もちろん相手は潔だ。まだ若いのでは? と言われたけど仕方がない。
だって、姉のお腹には新しい命が宿ったのだから。
(お姉ちゃん、大丈夫かな)
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