姉の幸せ

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「これを潔が大学を卒業するまで守れたら同棲と将来的な結婚を認める。だが、もし一度でも破ったり嘘をついたら別れてもらう」 「わかりました」 「ありがとうございます」  念のためその場で誓約書が作られて、姉と潔はサインと拇印を押していた。それをお互いの両親と本人たちが預かる。  今後については潔が成人した2年後に再び話し合うことが決まった。姉は春休みの間に実家に戻る準備をすることと、その期間私は姉の家に泊まるように指示された。  数日分の着替えをまとめて、姉と潔、潔の両親と共に家を出る。潔の両親は車で来ていたから3人で車に乗り込んだ。見送りくらいしようと待っていたら、後部座席の窓が開いて潔が顔を出した。 「じゃあまた連絡する」 「うん」 「……葵」 「何?」 「ありがとうな、俺たちに味方してくれて」 「!」  車の窓が閉まって、潔たちは家に帰っていった。私は姉と共に駅に向かう。姉が独り暮らしをしているアパートは駅前にあるからバスに乗るためだ。 「葵、ありがとうね」 「えっ」 「私……結婚はまだ早いんじゃないかって思ってたの」 「そう、なの?」
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