姉の幸せ

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 臨月に入ったのと同時に我が家に里帰りをしていた。お腹はかなり大きくなって、今朝私が家を出る時に「今日はちょっとお腹が痛む」と言っていたけど……。  心配になりながらも、今日は神社の手伝いをする日だったから出てきてしまった。お母さんはいるから、大丈夫だと思うけど。 「おはようございます」 「ああ、葵ちゃんおはよう。今日はよろしくね」 「はい」  境内のそばにある社務所に入り、宮司さんに挨拶をした後更衣室に入る。最初は着るのに戸惑った緋袴も今はひとりで着付けできるようになった。  白い小袖に腕を通し緋袴を履く。最後に髪をひとつにまとめると背筋が伸びた。  更衣室を出て、宮司さんに今日の手伝いは何をすればいいか聞くと外の掃除を頼まれた。 「もうすぐ桜の季節になって参拝客が増えるからね」 「わかりました。では、いってきます」 「頼むよ」  社務所から出て、倉庫から箒とちりとりを取り出して掃除を始めた。ふと桜の木を見上げるがまだ蕾もない。咲くのはまだ先だなと思いながら手を動かしていた。 「あら、葵ちゃん?」 「おばあちゃん、おはよう。いつも元気だね」
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