姉の幸せ

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 ほっと安心したように微笑む神様にドキッとしてしまった。テレビや雑誌でみるような芸能人が霞むような美しさが、本当に神様なんだと実感させられる。 「さて、本題に入ります。随分と落ち込んでいたようですが」 「!」 「話を聞いてもいいですか? 私はこの地域の神様なので困りごとがあるなら解決したいのです」 「いや、でも……そんな解決できることじゃないです。だって…………死んでしまったので」  そう、死んでしまったのだ、私の姉は。  10年前に実家を出ていった姉、津村茜が見つかったと警察から連絡があったのは先週のこと。  しかし彼女はもう亡くなっていた。ここから数キロしか離れていない町の小さな川で遺体となってみつかった。近くには彼女の娘である小さな女の子の遺体もあり目立った外傷はない。  溺れた娘を助けようと、川に入った彼女も溺れてしまった事故と警察は言っていた。 「それは……残されたお姉さまの旦那様はお辛いでしょうね」 「いえ、いないんです」 「えっ?」
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