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「姉の夫は3年も前に事故死していて、私たちはそのことすら知りませんでした。というより、姉に子どもがいたことも、結婚したことも……知りませんでした」
神様の目が丸くなった。正確に言うと、姉の夫だった人が誰かはわかる。10年前に姉との結婚を反対された私の幼なじみの丹羽潔だろう。
親族たちが結婚を反対した日は私と潔が高校を卒業した日だったからよく覚えている。卒業式が終わり、家に帰ると姉を含めた家族と潔、潔の両親がいて、話し合いが始まった。
「なぜ、皆さん結婚に反対したのですか?」
「……私と姉は9つ年が離れていて、もちろんそれは潔もですけど」
「けど?」
「姉は中学の教師をしていて、潔と私は教え子だったんです。それで、周りの反対も強くて……。私も反対しました。年が離れすぎているし、教師と生徒でって」
この地域はまだ考えの古い人が多い。うちの両親も潔の両親もそうだった。
近所の目が気になるとか、子どもができたときに何と言われるかと。素直に祝福できないと。その時の姉と潔の顔は今でも覚えている。
そして、まだ若い私に話が振られた。
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