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ふと自分の服をみると高校時代のセーラー服で、両親もちょっとかしこまったかっこうをしていて、潔の両親も私をみている。
(本当に戻ってる)
「葵はどう思う?」
「えっ?」
「今のご時世、生徒と結婚するのがタブーなんて古い考えよね?」
「!」
姉の震える声、そして蒼白の顔。間違いなく10年前のあの日だとわかった。正直どう言おうかなんて考えていなかった。いきなり本番に立たされて軽くパニックになりつつも、目を閉じて、息を吐く。気持ちを落ち着かせてからゆっくりと口を開いた。
「私、は反対しない」
「!」
「葵……」
まずは反対しないことを表明して、少しでも未来を変えなければ。再び息を吐いてから、話を続ける。
「確かに、世間から見たら好ましいことじゃあない、かも。でも、ふたりはさ反対されても……駆け落ちして結婚する気だよね」
「なっ」
「……!」
「そうなの? 茜」
姉と潔は顔を見合わせた後、小さく頷いた。潔の両親も驚いて口をぽかんと開けている。どうして、わかったのかと言いたげなふたりの視線を横目に私は両親に話しかけた。
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