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姉の幸せ
お葬式が終わり気が抜けたのか、さっきより体が重く感じる。
やはり父に駅まで送ってもらえば、と考えたが憔悴した母をひとりにするのも気が引ける。駅までのバスはまだ出ているし、バス停までは徒歩で5分もかからない。
それに今は10年振りに我が家に帰って来た姉と過ごしたいだろう。
(と、いっても……お姉ちゃんは、もう)
そこまで考えて軽く頭を振った。今何をしたって状況は好転しない。ただただ募る後悔の念に押しつぶされそうになりながらも顔を上げれば、赤い鳥居が目に入った。まだ実家にいた頃、初詣や縁日の度に行ったとても小さな神社だ。
いつもは素通りするのに、今日はなぜかお参りしたい気持ちがわいてきた。
しかし、鳥居をくぐろうとしたところでふと、足を止める。
(葬式の帰りって神社大丈夫なのかな)
「私は別に気にしませんが」
「ならよかっ……た?」
おもわず返事をしてしまったが周囲に人の気配はない。それに今、声には出していなかったはず。
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