兄ちゃんの幸せ

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俺たちの母ちゃんは、俺が中学3年の時に死んじまった。血液の癌ってやつだった。 そのとき高2だった兄ちゃんは、受験勉強を頑張っていた。 俺の方は、実力相応の高校に進学すればいいし、その先のことなんて、ぜんぜん考えていなかった。できることなら受験なんてしたくないと思ってた。 父ちゃんは帰りは遅いし、出張も多かった。 なので、料理はほとんど俺が担当した。やってみて分かったのは、実は俺は料理が好きだったってこと。スーパーに買い物に行くのだって、何を作ろうかと考えながら食材を揃えるのって、楽しいんだよな。魚の鮮度を見極めたり、その日の目玉商品でメニューを考えるとか。
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