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いつの頃からだったか…
高校の時に部活でサッカーをしていたが、息苦しくて咳き込みだし倒れた事がきっかけだったと思う。喘息だと診断され、それから俺はエースとしてではなくマネージャーとして部活に関わっていった。
激しい運動を禁止されてしまい毎日薬を飲まなければならなくて、発作が起きた時用の薬も持ち歩いている。
夢はサッカー選手だった俺はよくサッカーの試合をのめり込むように見ていたが、今では話題を聞くだけで憂鬱になってしまっていた。
中学生の頃の友人に会うと変わっちまったななんて言われてしまう。まぁ元気だけが取り柄だった俺が今では走る事もあまり許されなくなっていたし、つまらない男だなと自分でも思う。
そんなある日俺は一人暮らしをしているアパートへ帰る為の帰路へついていたのだが、後ろから走ってくる足音がして振り向けば鞄が取られてしまった。
薬も入っている大事な鞄だ。走って追いかけていたがあと少しで手が届きそうになったが胸が急に苦しくなって、咳き込んでいれば意識が混濁して倒れてしまう。
人通りのあまり無い道で俺は走り去る背中に手を伸ばしたがその手は地面に落ちて意識も遠ざかっていってしまった。
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