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「聖なる器は…やはり元の世界に帰れはしないのだな」
「ごめんなさい。嫌な思いをさせて…」
「元は自分の部下の失態だ」
俺が星空を見つめていれば荷物の中身を俺の隣に出してくる。それはガレウスの体と頭で、俺はガレウスの頬に触れて口付ける。
冷たくて悲しい味がする。だけど俺は幸福感に満たされている。
青年は剣を取りだし振り上げて俺の心臓へと突き立ててきた。そして引き抜き薄れゆく意識の中何度も腹を刺してくる。
その目には悲しみの色と後悔の色があったが、俺は感謝しかなくて笑みがこぼれた。ガレウスと一緒のお墓に入れるなんてこれ以上幸せな事はないと思う。
俺のわがままで死なせてしまった愛した人。愛してはいけなかった人。謝っても謝っても謝りきれない…だけど連れ出してくれた時まるで物語のお姫様にでもなったように嬉しかったよ…?
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