25人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
部屋がノックされ裾を手放し扉を開けてみれば、メイドが二人居て一礼してから一人は食事を運んできてもう一人はベッドメイキングをしてくれる。
卓上に運ばれたのはスープで、俺が見ていれば執事が一人入ってきた。黒く長い髪を後ろで束ねていて黒い瞳で右目に眼帯をしている若い青年だ。
俺が椅子に座れば目の前に置かれたスプーンを青年が手に取りスープを掬って一口飲んでゆく。無言で見つめ合っていたが、何も無いとわかるとスプーンを胸元から取り出した紙ナプキンで拭き取り俺に差し出してきた。
「え?あ、の…何事?」
「聖なる器に何かあっては困りますので毒味です」
「聖なる器…?どういう意味だ?」
「神が与えし万物の器…と、言っておきます」
それ以降何も教えてくれなくて、俺はスプーンでスープを飲んでゆく。どういう意味なんだろうか…というか誰に聞いたら教えてくれるんだろうか…?
スープを飲み終えればメイド達は片付けて一礼してから部屋を出てゆく。執事も一礼して出てゆくので俺は一人になってしまった。
ゆっくり部屋の中を見てみれば天蓋付きのベッドと姿見の他にはベッドサイドテーブルと、一人用の机と椅子があるだけでクローゼットなどは見当たらない…窓もないってどうなってるんだよ。
最初のコメントを投稿しよう!