聖なる器と呼ばれる理由

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青年に部屋へと護衛され歩いていれば、鎧を着た騎士が慌てて青年の元へ来て耳元で何かを話している。俺はその間にこっそりと青年から離れ裾を持ち上げ走って逃げる。 孕まされる為だけに召喚されたとか冗談じゃない!なんて勇んで走り出したが胸が苦しくなってきて、咳き込んで壁にもたれて座り込み胸をおさえる。 ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返していれば誰かに抱き上げられ、その安心感と温もりに呼吸がゆっくりになってゆき俺はその人物を見た。 それは執事のあの青年で俺を抱き上げたままどこかへ歩き出す。ケホケホとまだ軽く咳き込んでいれば部屋へと連れ帰られベッドに寝かされ頬に触れられる。 「俺…何を産まされる為に呼ばれたんだろ…」 腕で顔を覆ってポツリと呟いても返事などある訳もなく、ギシッとベッドに座られて俺は腕を退けて青年を見る。 「さぁ。だが貴方の望む未来などこの世界では無意味なのだとは思います」 「死のうかな…」 「身体さえ無事であれば構わないと言われていますので、死して尚身体は生かされ孕まされるかもしれませんね」 「うぅ…優しいのか意地悪なのかどっちなんだよ…」 起き上がって青年の背中にもたれる。青年は嫌がる様子もやめさせる様子もなく、ただ受け入れてくれている。ゆっくり呼吸をしていれば扉が開き騎士の青年が入ってきた。
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